2015年3月16日月曜日

3/14 富士ロゼシアター LIVE REPORT




【シンクロ。】



今回のツアーで、10万人の「約束の地」に最も近い、ロゼシアター。
雨模様だった天気は、ライブが近づくにつれて晴れわたり、いつのまにかホールの外から霊峰富士が豪快に見えた!


ホールの中はライブが始まる前から大騒ぎだ。
1階席の最前列から始まって2階席の最後方まで波打つウェーブ。
あちこちで競い合うように沸き起こる手拍子、コール。

男が大きく息を吸い、顔を少し上げて口元で掌を広げ、誰よりでっかい声で叫んだ。
「ツーヨーシー!!!」
それが街角なら、一帯の通行人がいっせいに振り向きそうなほどの大声。
その強い思いがシンクロして、ツヨシコールが巨大なエネルギーの塊になる。


一瞬、全ての明かりが落ち、暗闇が「始まり」を告げる。
弾けるように歓声が轟き、すぐにステージのスクリーンが白く発光する。
バンドが勢いよく音を出し、スタンディングの客の拳がそろって宙を突く。

長渕が嬉しそうに客を見る。客にも嬉しそうな長渕が見えている。互いに表情や気迫を肌で感じながら、熱をぶつけあい、共鳴し、疾走していくのだ。

曲が終わるごとにコールが乱れ飛ぶのは、高揚する感情を抑えきれず、体の中から思いが溢れ出てしまうからだ。



弾き語りのコーナーで、長渕が爪弾く美しいアコギの音色が、コールをかき消した。
誰も知らない歌が、ホールに響き渡る。

♪ 君に会いたくて 富士へやってきた
さっきまでの雨がやみ 富士の国が見えたね
僕たちが夏に集まる場所は そう ここ富士の国
今 この歌を作ってるよ そう 君の顔を見ながら

なんと!!! 長渕は即興で歌を作っている。
タイトルはわからない、歌われている「言葉」がこれで正しいのかも自信はない。
確かなのは、ロゼシアターに集まってきた仲間のために、長渕はたった今、歌を作り上げているということだ。


♪ 富士で会おう 富士で会おう
君と僕の約束

「絶対行くぞ~!」「約束するよ~!!!」
会場のあちこちで、喜びの声が上がる。


人の心がシンクロすると、動きが起こるのだ。
一人の強烈な叫びが大勢の心を動かすし、大勢の燃え立つようなエネルギーが長渕に即興の歌を作らせてしまう。



そして始まった! ピーターとイチローがビートを刻み、「富士の国」が始まった。
霊峰富士に最も近いこのホールで、

長渕の歌に、いちだんと「思い」が乗って聴こえてくるのは、客の熱い反応のせいか。


国旗が生まれた 日本の頂(テッペン)に陽よ昇れ!
霊峰富士の国の頂に 俺たちは生まれてきたんだ
国旗がたなびく 日本の頂(テッペン)に陽よ昇れ!
霊峰富士の国の頂に 俺たちは生まれてきたんだ

合唱が起こり、拳が舞う。
力強く両腕を突き上げる高齢の女性もいた。
父親と一緒に懸命に拳を振り上げる男の子もいた。
初めて聴くはずのこの歌に、心を同化させていく。

長渕がステージから客を見つめ、歌が届いていく感触を瞬間を心に焼き付けている。

「ウォーウォーウォー、ウォーウォウォー、ウォーウォウォー、ウォウォウォー」

何度も何度も繰り返されるフレーズの大合唱を、しっかりと耳に捉える。



「富士の国」に続くのは、ラストソング。
長渕は、ラスが奏でるピアノのフレーズに乗せて、ついさっきまでみんなと大声で歌っていた「富士の国」のリフレインを静かに口ずさみ、囁くように語りかけた。

おい、やるぞ。
富士へ来たぞ。
生きてきたこの幾十年、みんなと一緒にこの夏、富士に辿り着くぞ。
10万人の人の束で、霊峰富士に、幸せになりたいって、叫ぼう。

叫ぼう!!!



この夏、富士の麓で、10万人の「思い」がシンクロする。

(文・藤本真)

2 件のコメント:

  1. 富士の国、良かった!

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  2. まさか、LONG LONG TIME AGO
    が聴けるとは思わなかった。
    素晴らしかった!

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